こんにちは、レラテックの上月です。レラテックでは風況解析・風況観測等に携わっています。

夏休みシーズンも終わりですね。最近、『トムソーヤの冒険(英題:The Adventures of Tom Sawyer)』『スタンドバイミー(英題:The BODY)』の洋書を読み、少年だった頃に、心が成長する忘れられない経験をしたかったなと思いを馳せました。

さて、今回ご紹介するトピックは、「風況とはなにか?」です。本コラムが風況観測・解析業界に触れる一歩になれば幸いです。

突然ですが、風車を建てたい事業者から、こんな質問をもらったとします。

「このエリアではどんな風が吹きますか?」

気象予報士になったばかりの頃の私なら「このエリアのことはよく知っています。年平均で約6m/sの南風が吹きますよ」と、得意げにこのような回答をしていたと思います。

 風車を建てることは容易ではありません。多額の費用と長い時間を要します。建てた後も、長期にわたって運用をしていきます。そのため、ビジネス面における検討が非常に重要となり、何としてでも安定した発電量を見込むことができるエリアに建設しなければいけません。

「どのような風が吹くのか?」という質問には、リスクとリターンの検討材料となる情報を回答しなければならないのです。きっと、あの頃の私の回答をまともに聞く人はいないでしょう。

風は実態を掴むのが非常に難しい気象要素の一つ

“風“は、気象学的にやや特殊な側面を持ちます。気温・湿度・降水・日射といった他のデータと大きく違い、実態を掴むのが難しい気象要素なのです。

風になびく草花を見てわかるように、風は頻繁に揺らぎます。風とは空気の流れが動く現象です。特に、障害物の多い地表面付近では風の向きや強弱の変化が激しくなります。

さらに、“変動する風”を観測するための機器が、どの程度信用できるモノなのかも重要です。例えば、車の交通量調査をする人が60分間の内一回(10分間)トイレに行く人だったら?または、30回中1回カウンターを押し忘れる人だったら…?

観測機器も同様に、ある程度の不確かさ(uncertainty)を抱えているため、その観測量も大切な要素となります。

では、冒頭の風車を立てたい事業者の質問に対して、どのように回答をするのが正しいのでしょうか?答えは、こうです。

「このエリアで一年間観測した結果、0.5m/s刻みの各風速はそれぞれ〇〇で出現し、それぞれの風速で▼▼の乱れを持っています。風向きは◆◆が主体ですが、この方角は尾根があるため風のエネルギー量で見ると◇◇が主体となります。観測機器は■■を用いて●●と設定し、不確かさは××です。一年のうち◆◆%稼働していました。☆☆の影響で欠測したデータは▽▽な関係性を持つ◎◎のデータで補完しています。」

どうでしょう?なんだかすごく早口で説明してそうですよね(笑)。

でも安心してください。実際には図や表を入れ込み、膨大なデータをまとめたレポートを作り、それを基に説明しています。綿密に調査をしなければ、そのエリアでの風の実態はつかめないので、風況調査は緻密さと根気のいる作業でもあります。

風況とは、風の状況を把握すること

風況とは、その場、その時の風における状態や性質を把握することなのです。

常に変化する自然を相手にするので難しいですが、現在まで着実に進んできた分野ですし、開拓の余地もまだまだあります。何より身近な要素で、地球と共生することに繋がる楽しい分野だと私は感じています。

レラテックは、洋上風力・風況観測の推進企業として各企業、プレイヤーと協業しています。今後市場規模が拡大していく、この分野に興味がありましたら、ぜひお気軽にレラテックへお問い合わせください。協業、ご相談、当社で働きたいなど大歓迎です。たくさんの方々の参画を心よりお待ちしております。

レラテックでは風況コンサルタントとして、風力発電のための「観測」と「推定」を複合的に用いた、最適な風況調査を実施いたします。

引用
・むつ小川原洋上風況観測試験サイト https://mo-testsite.com/