こんにちは、レラテックの高松です。レラテックでは、技術のサポートや広報、総務、人事など幅広く担当しています。
先日、レラテックで社員全員が集まるオフラインのミーティング・ワークショップを実施しました。私がレラテックで働き始めてから「出社」をするのは、実はこれが初めてでした。リアルの場にだいぶ緊張しましたが、直接会ってコミュニケーションをとる大事さを改めて感じることができました。これからは定期的に実施する予定です。
さて、今回ご紹介するトピックは、「風力発電のバードストライク(風車と鳥との衝突事故)に関する研究」についてです。
風車の建設前には環境アセスメントによって、自然への影響を軽減する対策がとられます。主な対策は、重要な鳥類の生息場所への建設を避けたり、風車の位置や配列を工夫したりするなどがあります。他にも彩色や警戒音など、風車自体に関する対策もあります。今回は後者について調べてみました。
その中で、とても興味深い2つの研究がありました。
①風力発電のブレードを塗装する工夫
一つ目の研究は、風力発電の風車の羽根(ブレード)の1枚のみを黒く塗装する、というものです1)。ノルウェーの風力発電所において、2013~2016年に4基の発電機のブレードをそれぞれ1枚のみ塗装する、という研究が行なわれました。その結果、通常のタービンと比較して、鳥類の年間死亡率は平均約70%減少したことが検証されています。この研究は、検査数自体が少なく、未知数の部分も多いそうですが2)、今後のさらなる研究が期待されます。
②鳥類が風車へ衝突する危険を音で回避させる工夫
二つ目は、2020年に北海道北部の風力発電所で行われた、鳥類が嫌がる音声を使って渡り鳥に風車を回避させるという研究です3)。
一つ目の研究で紹介しました「ブレードを塗装する方法」は、昼間には効果を発揮しますが、夜間では視界が暗くなるため鳥類が風車に衝突する危険性が高まります。そのため、主に夜の時間帯の対策としてこの研究が行われました。
この検証実験の結果、約80%の回避行動が確認されたそうです。こういったシステムが広く普及し、バードストライクが少しでも低減することを願います。
環境省では2022年~2023年度に、洋上風力発電の特性を踏まえた環境保全措置として、稼働に伴う環境影響を継続的に把握することを目的に「洋上風力発電における順応的管理等実証事業」4)を実施しています。
この事業では、環境影響を低減できる手法等を実証することで、環境保全手法を最適化していくそうです。その中でバードストライクに関する手法も実証・最適化されることを期待しています。
バードストライクは風力発電において切っても切り離せない、自然環境における課題です。今後もさまざまな研究が進み、より良い対策が実施されることで自然環境への影響が低減されることを期待しています。
レラテックでは風況コンサルタントとして、風力発電のための「観測」と「推定」を複合的に用いた、最適な風況調査を実施いたします。風況に関するご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。