スピード感を持って日々変化していく再生可能エネルギー市場。レラテックニュースでは、再生可能エネルギー関連や風力発電市場についての直近のニュースのなかで、レラテックメンバーが気になったニュースをピックアップしてお届けします。今回は9月から10月中旬までに特に注目したニュースについてです。

①洋上風力発電用として、フランス初の洋上研究プラットフォームを設立
https://www.france-energies-marines.org/en/

「試験サイト」のみではなく、洋上研究プラットフォームと表現している点がポイントで、さまざまな研究分野の集積地にしようとしていることが伺えます。風況分野以外での活用において、レラテックが運営主体の一つとなっているむつ小川原洋上風況観測試験サイトの参考になりそうです。

②イギリス最後の石炭火力発電所が運転停止し、石炭火力が全廃
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241002/k10014598011000.html

イギリスの石炭火力廃止は化石燃料からの脱却という面で大きな一歩といえそうです。日本は2022年で石炭火力の割合が30.8%、エネルギー計画では2030年度時点でも19%程度となっており、日本の石炭火力廃止まではまだまだ道のりが長そうです。

③三菱総合研究所が洋上風力発電のポテンシャル海域に関する分析を発表(2024年4月発表)
https://windjournal.jp/120633/
https://www.mri.co.jp/news/press/20240425.html

本発表では、着床式(70GW)に対して浮体式(2396GW)のポテンシャルが圧倒的に大きいことが示されています。なお、ポテンシャル海域は、国の洋上風力の導入目標(2040年時点で30〜45GW、浮体式含む)や2050年カーボンニュートラル実現に求められる洋上風力の導入量である100GW(JWPA試算)を大きく上回り、これらの数値からも今後の拡大が期待されます。

④テキサス州当局がAIデータセンターへ独自での発電所の建設を求める
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-04/SKT7IET1UM0W00

AIデータセンターは都市全体と同程度の電力を消費することから、テキサス州当局はAIデータセンターを建設したい企業に対し、自前の発電所を建設するよう求めているそうです。AIの発展と共に電力の需要がますます増えてきていると実感しました。日本国内の洋上風力でも売電価格を決める需要家は非常に重要であり、発電事業において売電先となるオフテイカー (Offtaker)が重要な役割を担っています。

⑤日本の洋上風力発電に「国主導の海鳥調査による基礎データ」の不足を指摘
https://toyokeizai.net/articles/-/831782

海鳥の研究者が、「日本の洋上風力発電」に国主導の海鳥調査による基礎データが圧倒的に不足している状況を指摘し、生態系への影響を懸念しています。本記事によると、欧州各国では国主導の調査で約30年分のデータがあるそうですが、日本は3年分だそうです。最近では、むつ小川原洋上風況観測試験サイトにて、新しい技術を用いた鳥類のレーダー観測調査の実験が行われています。近年では、その他にもAI技術や画像認識技術などが鳥類調査に取り入れられており、新技術を取り入れた効果的な鳥類調査が期待されています。

データの取得には時間がかかりますが、まずはこういった新しい技術を用いた事前の環境アセスメントや稼働中のモニタリング・対策をしっかりと行うことから進めていけるといいですね。


次回もレラテックが気になったニュースを厳選してお届けしていきます。

レラテックでは風況コンサルタントとして、風力発電のための「観測」と「推定」を複合的に用いた、最適な風況調査を実施いたします。