Column Vol.2 ~風力発電のための風況調査が学べる大学・研究室:前編~


こんにちは、レラテックの見﨑です。レラテックでは風況シミュレーション・解析を担当しています。 

私たちの本社がある神戸は、海と山が近く、自然を身近に感じることができます。六甲山から吹く、”六甲おろし”でもおなじみの土地です。一方で、ほどよく都会的でもあり、とても暮らしやすい街だなと感じています。「神戸ハーバーランド」や「北野異人館街」に代表される観光名所も多く、公共交通機関も充実していますので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

さて、今回ご紹介するトピックは「風力発電のための風況調査が学べる大学・研究室:前編」です。

風力発電における風況調査は、高度な専門性が問われる分野です。

風況調査を学ぶためには「風力発電事業者や風況調査を専門とする、コンサルタント会社に所属して実践的に学ぶ」、あるいは「独学で身につける」といったアプローチが考えられます。

その中でも、本格的に学んでみたい!という方には「大学の研究室に所属して基礎から学び、研究テーマに取り組む」ことをおすすめします。

また、大学との共同研究を検討する民間企業にとっても、どのような研究室とコラボレーションできるのか?については、関心が高いのではないでしょうか。

本コラムでは、風力発電のための風況調査の研究を行う研究室の一部を、それぞれの特徴に触れながら前編・後編にわたりご紹介します。

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神戸大学 海洋政策科学部 海洋・気象研究室1)
海洋・気象研究室は、著者が学生時代に所属していた研究室です。
同研究室は、海洋環境を構成する気象・海象に関する基礎研究から応用研究まで、横断的に研究をしていますが、その一環として、洋上風力発電のための風況調査を長年の研究テーマとしてきました。
特に、気象モデルによる、洋上風況シミュレーションに関する研究については、成果の一部がNEDOの洋上風況マップ「NeoWins2)」の開発に繋がっています。
東京大学 工学系研究科 橋梁研究室3)
橋梁研究室は、NEDO「風力発電等技術研究開発」をはじめとする、数多くの国家プロジェクトに携わってきた、日本の風力開発を牽引する研究室です。
同研究室で開発された風況予測ソフトウェアの「MASCOT4)」は、対象エリアにおける気流解析を実現するモデルとして、国内のウィンドファーム認証を係る、風力調査などに広く利用されています。
九州大学 応用力学研究所 新エネルギー力学部門 風工学分野5)
風工学分野では、物体のまわりや地表面に近い大気に現れる風(流体)に関する分野を背景として、風況調査に関する研究を行っています。
同研究室で開発・実用化された、数値風況予測モデル「RIAM-COMPACT6)」は、風(流体)の渦の再現に力点を置いたモデルとなっており、さまざまな風力開発プロジェクトにおいて、風車の適地選定などに活用されています。
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今回は、風力発電のための風況調査が学べる大学の研究室の前編として、3つの研究室をご紹介しました。引き続き、ぜひ後編も読んでみてください。
もちろん、上記以外にも同様の取り組みを行っている大学・研究室は多くあります。ぜひ調べていただき、風力発電に関する興味・関心を広げていただければと思います。
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レラテックでは風況コンサルタントとして、風力発電のための「観測」と「推定」を複合的に用いた、最適な風況調査を実施いたします。風況に関するご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。
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参考
  1. 神戸大学 海洋政策科学部 海洋・気象研究室
    URL: https://www.lab.kobe-u.ac.jp/gmsc-airsea/
  2. NEDO, 洋上風況マップNeoWins, URL: https://appwdc1.infoc.nedo.go.jp/Nedo_Webgis/top.html
  3. 東京大学 工学系研究科 橋梁研究室,
    URL: http://www.bridge.t.u-tokyo.ac.jp/index_j.html
  4. 石原孟, 山口敦, 風況予測ソフトウェアMASCOTの技術と解析例, 風力エネルギー学会誌, 37(1), 2013, pp.2-5.
  5. 九州大学 応用力学研究所 新エネルギー力学部門 風工学分野,
    URL: https://www.riam.kyushu-u.ac.jp/windeng/
  6. 内田孝紀, 最新の数値風況シミュレーション技術リアムコンパクトが実現するバーチャルウィンドファーム-開発の歴史と将来展望-, 風力エネルギー学会誌, 44(4), 2020, pp.666-671.